「高速ラップ」のOutsider
K−POPを聞き始めたころ、多くの楽曲にラップが取り込まれていることが新鮮だった。ラップを韓国音楽界に持ち込んだのは、1990年代前半に活躍したグループ「ソテジワアイドゥル」だというが、今のダンスポップ系の人気グループには「必ず」と言っていいくらい、メンバーにラッパーが存在し、その楽曲にはラップが盛り込まれている。
筆者が好きなラッパーは、BIGBANGの「T.O.P」や「Brown Eyed Girls」のミリョ。グループでは「Epik High」に魅力を感じるが、このところ、ソロで活動する「Outsider」に強く心引かれ始めている。
Outsiderは2004年デビューで、2009年リリースの第2集「Maestro」では音楽チャートで1位を獲得したという。「K−POPS.JP」のアーティスト紹介では、「1秒に17.1音節という国内最速のラッパー」とつづられている。実際に聞くと、確かに速い。
3月に発売された2.5集のタイトル曲は「周辺人」。歌詞の一節を紹介すると―。
私はどことも交われない
君にも彼女にも属せない
君の周りをうろつく
月明かりは分かってくれるかな
星の光は傷を抱いてくれるかな
苦しみが身に沁みて歌を歌う
恋しさが身に沁みて君を呼ぶ
(KBS World「ミュージックバンク」より)
「誰にも属せない」という孤独感をつづる詩的な歌詞を、高速ラップで歌うOutsider。それが、弦楽器も織り交ぜられた美しい旋律と重なると、寂りょう感が胸に迫ってくる。独特の輝きを放つ、魅力的な楽曲だと思う。
「高速ラップ」がフィーチャーされがちだが、歌詞やメロディーも含めて楽曲の“総合力”が高いからこそ、Outsiderは韓国で人気を集めているのだろう。
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